実際は700メートル弱!? 東京スカイツリーのちょっと内側!_00

実際は700メートル弱!? 東京スカイツリーのちょっと内側!

2017.10.11

ご存知、高さ634m、タワーとして世界一の高さを誇る『東京スカイツリー』(東京・押上)は、2017年5月で開業5周年を迎えました。

 

東京を代表する観光名所として人気が高い東京スカイツリーですが、計画段階で「ビッグプロジェクト」と位置づけられ、そこでは高度な建設技術が多数採用されているということまで知っていますか?

 

今回は、東京スカイツリーの建設方法について詳しく見ていくことにしましょう。

 

基礎部分は三角形の大型杭で安定化


はじめに、基礎部分の構造について見ていきます。東京スカイツリーの基礎部分は、現在地中の中にあるので目視で確認することは難しいですが、大型の三角形の杭が用いられています。通常、タワーの足は東京タワーのように4本足が基本となっていますが、本塔は構造上、足を3本としても、杭全体を大型の三角形とすることで、基礎を安定化させることが可能となりました。

sus1011_2

写真からはわかりづらいですが、この裏にも足にあたる部分が1箇所あるのです。

 

その理由は、三角形という形には十分な安定性があるためです。四角形は、角の部分に力が加わると、変形する力が働きますが、三角形の場合は角の部分に力を加えても変形しにくいという特性があります。

 

スカイツリーは高さが600mを超えることから、強風時や地震発生時に大きな力がかかりやすくなりますが、杭が三角形であることから、上下や左右からの力に対し、十分に耐えることが可能となっているのです。

 

それを支えているのは『ナックル・ウォール』と呼ばれる突起付きの杭(註:『地中連続壁杭』と一緒になっている)で、その深さはなんと50メートルにもおよびます。つまり、東京スカイツリーは地中を含めると684メートルもの高さがあったということです。

※詳しくはこちらを参照 → 「東京スカイツリー® のつくり方「ナックル・ウォール工法」」(大林組)

 

安定的な構造である「トラス構造」を活用


また、東京スカイツリーで特徴的なことは、『トラス構造』を活用している点です。

 

トラス構造とは、三角形の形を建築物に組み込むことで、構造物の強度を高める構造のことです。四角い形の構造に、対角線に沿って斜めの部材を一本組み込むことで、四角い形の中に2つの三角形が構成される形となります。

 

杭の説明と重複しますが、三角形は、外側からの力に強く、変形しにくい性質を持っていることから、トラス構造を採用することによって、構造物の強度を高めることができているのです。

 

sus1011_3

東京スカイツリーを眺めてみた場合、そのほとんどは鉄塔で覆われています。鉄塔の部分を良く見てみると、縦方向の鉄骨と横方向の鉄骨が見られますが、縦方向の鉄骨と横方向の鉄骨で構成される四角い部分には、斜めの鉄骨が用いられているのです。要するに、東京スカイツリーは幾重もの三角形の集合体と言えるかもしれません。

 

五重塔をモチーフにした制震システムを採用


そのほか、東京スカイツリーで優れている点は、『法隆寺五重塔』のような制震システムが活用されている点です。

 

世界最古の木造建築物として知られる法隆寺五重塔は、耐震性に優れた建築物であるとされていますが、その理由の一つとして、五重塔の中心部に位置する「心柱」があります。

 

sus1011_4

東京スカイツリーも、耐震性を高めるために心柱を活用しています。引きの絵で見てみると、光の透過度合いによって、その中心に一本の柱があるように見えるのがおわかりでしょう。

 

その心柱が『質量付加機構』を担っています。質量付加機構とは、簡単に言うならば地震の揺れを相殺するために建築物におもりを設置することを指します。設置されたおもりは、地震の時における建物の揺れ方とは異なる揺れ方をするため、建物自体の揺れが軽減されます。東京スカイツリーの公式ページでは以下のように説明されています。

「地震時などに、構造物本体とタイミングがずれて振動する付加質量(=重り)を加えることで、本体と重りの揺れを相殺させて、構造物全体の揺れを抑制する制振システムです」(東京スカイツリー公式ページ「スペック・構造設計」より)

 

これにより、東京スカイツリーは、地震による揺れを軽減される仕組みとなっているのです。地震の揺れを40%も制御するとも言われています。タワーとして世界最高の高さを誇るスカイツリーには、最新の建設技術や古くから伝わる建設技術が駆使されており、安全性を十分に高めていると言えるのではないでしょうか。

関連記事

実際は700メートル弱!? 東京スカイツリーのちょっと内側!_00

上から下から攻められ、小ちゃくなっちゃった。……高層ビルが!!

技術って素晴らしいですよね。数年前、東京にあった有名ホテルが「日に日に縮んでいく」ということで、テレビでもその模様が取り上げられました。もちろん、それは解体技術によってです。今回はその辺のお話を少し。

実際は700メートル弱!? 東京スカイツリーのちょっと内側!_00

「建物とともに思い出を残したい」弘前城を曳いた職人・石川憲太郎が語る曳家職人の魅力

建物をあるがままの形で動かすことができる「曳家」。この專門職業で全国で5指に入る『株式会社我妻組』(山形県米沢市)の取締役工事部長を務める石川憲太郎氏に、曳家職人の魅力を教えてもらった。

実際は700メートル弱!? 東京スカイツリーのちょっと内側!_00

【佐藤組の「シゴトのこだわり」 解体工事】建物はみな違うから、杓子定規の壊し方もない。 都度ゼロベースで考え、実行

【職種 解体工事】建設業界またはそれに関連するシゴトに就く人々に、面白さ、魅力、働いてみて大変だったことなどをインタビュー。「リアル」に迫ります!! ーvol.10 株式会社佐藤組ー

実際は700メートル弱!? 東京スカイツリーのちょっと内側!_00

リノベーションによって耐震強度を高めることはできるのか?

地震の多い我が国では、大地震はいつ起こるか分かりません。リノベーションを計画する際にも耐震強度についてもよく考えたいところです。

実際は700メートル弱!? 東京スカイツリーのちょっと内側!_00

建設現場あるある!

夏場はヘルメットを脱ぐと髪がへばりついてわかめのようになる、建設現場あるあるですね。今回はそんな建設現場あるあるをご紹介します。

おすすめ記事(PR)

【プラスバイプラスの「シゴトのこだわり」】経営革新・利益拡大・人材確保、全ては「人を大切にすること」から始まる_00

【プラスバイプラスの「シゴトのこだわり」】経営革新・利益拡大・人材確保、全ては「人を大切にすること」から始まる

【職種 CADソフト販売・サポート・コンサルティング】建設業界またはそれに関連するシゴトに就く人々に、面白さ、魅力、働いてみて大変だったことなどをインタビュー。「リアル」に迫ります!! −vol.12 株式会社プラスバイプラス−

2017.12.08

特集

安い・簡単・高クオリティと噂のCADツールに敏腕編集部員のこのオレがフリーハンドで対決を挑んでみた_00

安い・簡単・高クオリティと噂のCADツールに敏腕編集部員のこのオレがフリーハンドで対決を挑んでみた

今回、素人でも使えてWEBで簡単に住宅のCAD設計ができるツールがあると聞き、「そんなもんより俺の方が上手く書けるし」と思ったサスマガ編集部員が、フリーハンドで速さ、綺麗さ勝負を挑んでみました。

2017.11.27

ワイルドな働き方すぎて、匂いケア忘れてませんか?_00

ワイルドな働き方すぎて、匂いケア忘れてませんか?

「仕事なんだから男なら、匂いとか、細かいことは気にしない」なんて、ワイルドすぎる働き方をしてませんか? ただ、何かにつけて「ハラスメント」になってしまう世の中なので、これは是非とも気をつけたいところ。そこで今回は、匂い対策を紹介します。

2017.04.12

ランキング

「格闘家」だけを雇用する会社『(株)逸鉄』が「建設業×格闘技」で日本人職人の育成を目指す【趣味・スポーツ × 建設業】_00

「格闘家」だけを雇用する会社『(株)逸鉄』が「建設業×格闘技」で日本人職人の育成を目指す【趣味・スポーツ × 建設業】

格闘家を従業員として雇用する工務店『(株)逸鉄』。従業員5名は全員が「ブラジリアン柔術」と呼ばれる、寝技を主とした、組み技系の格闘技に取り組んでいる。同社はなぜ、格闘家ばかりを雇い入れたのか?

2017.06.26

【現場1日体験vol.1】道路舗装に1日密着したら、そこには「男たちのカッコイイ仕事」があった。_00

【現場1日体験vol.1】道路舗装に1日密着したら、そこには「男たちのカッコイイ仕事」があった。

建築・土木・大工・左官など29種類の建設業界に存在するさまざまな業種の仕事を1日体験し、その仕事内容や様子を伝えていきます。

2017.02.01