【菜花空調の「シゴトのこだわり」 設備工事】手がけるもの全てが造形物であり、作品。完成形を眺めるのが楽しい _00

【菜花空調の「シゴトのこだわり」】手がけるもの全てが造形物であり、作品。完成形を眺めるのが楽しい 

2017.09.15

【職種 設備工事】建設業界またはそれに関連するシゴトに就く人々に、面白さ、魅力、働いてみて大変だったことなどをインタビュー。「リアル」に迫ります!! −vol.11 株式会社菜花空調−

インタビュイー:株式会社菜花空調 代表取締役 菜花祐樹 さん

 

−−菜花空調さんのお仕事を簡単に教えていただけますか?

会社設立6年目、個人でやっていた時期を含めると創業16年目になります。当初は空調工事から始めましたが、今はガス設備工事・水道設備工事・電気工事も手掛けていて、いわゆる設備全般を扱わせてもらっています。

東北(拠点は宮城県)で事業を行なっているので、夏が短いこともあって、エアコンだけだとちょっと厳しい部分もあり、ガス設備工事も始め、徐々に事業を広げていった形です。

 

 

−−同じ空調工事でも、地域や気候によって違いがあるのですね。

そうなんです。加えて東北の場合、3代目、4代目と続く老舗と言われる空調会社が4社ほど在り、メインの仕事の受注はその企業で占められ、新参者の弊社のような会社は参入不可にほぼ等しい。取り扱う職種が増えていった背景にはそういう理由もあります。

 

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−−幅広い仕事の中で、現在の御社の主力工事は何になるのですか?

ガス設備工事ですね。シェア的にも空調を超えています。床暖房、ガス給湯器、業務用給湯器の設置工事などです。BtoBの工事を主軸に、BtoCのお客様からのお仕事を自社ホームページや『TEAM SUSTINA』といったWebを介して請け負いながらやっています。

Webには力を入れてますよ。24時間365日営業マンをしてくれる訳ですから軽視できません。

 

 

−−余計なお世話かもしれませんが、その場合社名変更などは考えないのですか?

今年、建築士や宅地建物取引士(宅建)の資格習得を目指していまして、それが実現すれば変える予定です。業態も建設業許可を改めて取り直して、総合建設業としてやっていきたいと思っているんです。

そうなった時に、ブランディングなどを意識したプロデュースができるような所に、ネーミングなども依頼しようと考えています。

 

 

−−資格取得の勉強はご自身が、日常の仕事をこなしながらということですか?

仕事終わりに学校に通っています。夜の7時から11時まで(笑)。

 

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−−それは大変ですね。では、菜花さんご自身のことをお聞きします。最初に空調工事の仕事に就くことになったきっかけはどういうものでしたか?

正直なところ、たまたまです。私が育った家庭は教育熱心で、学歴を大事にする家だったのですが、途中で挫折してしまったのです。そこで何かしなければと考えた時に、まずはピザ屋さんで働き、その次にコンビニで働きましたが、どちらもやり甲斐を感じられなかったのです。

そんな中で、コンビニのオーナーに飲食店に連れて行ってもらった時、そこで空調設備工事の会社の社長さんと知り合って、誘ってもらいました。それが21歳の時です。現場には、今でも出ていますよ。

 

 

−−それからはずっと設備工事に携わっていくことになると?

結局、誘ってもらった会社は2度目のお給料をもらう前に、潰れてしまいましてね。ただ、その時に「この道で行こう」と決めて、潰れた会社で一緒だった従業員とともに東京・練馬にあった空調設備の会社さんに住み込みで仕事を覚えさせてもらいに行ったんです。

 

 

−−そこから再び仙台に戻られたのですか?

戻ってからは元同僚とも離れ、一人親方の下で働くことになりました。そこで大体6年ぐらい、2人で仕事をしてましたね。この親方がお金にだらしない人で、「今月の給料、とりあえず5万円ね」なんて言われて渡された時もありました。

でも、仕事に関しては見習うべきところが多かったんです。それでも経験を積んだある時、「ずっとここにいてはダメだ」と思い至り、親方の元を離れました。

そのあと仙台で25年続いていた空調設備工事の会社に勤めたのですが、1〜2年働いた頃に倒産してしまいまして、そこで独立に踏み切った形です。

 

 

技術は見て覚えた。ただ突っ立って息をしているだけではダメ


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−−見習いの時期には、どのような仕事を任されていましたか?

一人親方についていた時になりますが、特に何もやらせてもらえなかったですね。技術については、雑用の中で「見て覚えろ」の人でした。

任されたことと言えばその親方から「奥さんと焼き鳥食べに行くから、子供を見ておいてくれ」と頼まれて世話したり、国分町という繁華街に飲みにいくからと、駐車場で帰りを待たされたり。しかも朝まで、それが週に3〜4日です(笑)。

 

 

−−それは色んな意味で大変ですね。

全く教える人ではなかったのですが、ある時いきなり「行ってこい」と。必要なものは全て用意してあって、「エアコン2台、1日かかってもいいから済ませろ」という感じで送り出されました。

手取り足取り教えてもらったことはなかったですし、今みたいにスマホで調べられるなんていう時代でもなかったから、全部見て覚えたことを頼りにするしかありませんでしたね。

でも意外と「やろうと思ったときにどれだけ見てきたか」がその時に表れるんです。しっかり見てきた人間は、勝手に体が動きますからね。

 

 

−−現在の菜花空調さんの仕事は、その親方さんの技術、サービスを基にされているということですか?

基本はその人ですね。技術はもちろん、お客様への応対、見積もりの出し方などは本当に素晴らしかった。その辺は本当に今でも感謝していますよ。

だから、ルーズなところがあっても付いていくことができたんです。その人のおかげで私は、この世界で通用できるようになれたのだと思います。

今、私の部下への教え方も「見て覚えろ」です。「ただ、突っ立って息をしているだけじゃダメだよ」とはよく言っていますね。

 

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菜花空調にて「見て、腕を上げてきた」従業員の小野寺さん (写真提供/株式会社菜花空調)

 

−−菜花さんは、見習いの時から仕事を楽しめていましたか?

苦しいっていうイメージはなかったですね。覚えることだらけで、ただただ夢中でした。自分のことで精一杯でしたから、その時はまだまだお客様目線になんて立てていなかった。ただ、新しい工具を買った時は、それを使う楽しみなどはありましたけど。

 

 

−−技術を身につけてからは、楽しめるようになったと?

そこまでいけば、やっぱり仕上がりです。エアコンで言えば室外機の取り付け、配管ですね。これは素人目にもわかる違いだと思います。

現場っていうのは1現場1現場が全然違うじゃないですか。「これはキッツイな」っていう場所もあれば、「楽勝」って感じる場所があったり、事前に下見できて臨めるところもあれば、ぶっつけ本番だったり。

だから、飽きないですね。18年仕事を続けられてきたのは、それがあるからでしょう。

 

 

−−ベテランとなられた今はどうですか?

最近は道具ですね。便利なものがたくさん出てきて、使うのが楽しくなっています。道具はたくさん集めていますので、もはや趣味。仕事が趣味になっていると、絶対に苦しくないというのは僕の持論にもなっています。

中には「使わなそうだけど、(個人的に)買っちゃった」っていうものもたくさんあります(笑)。おかげでメーカーさんが、新商品を出したらとりあえず私のところに見せに来るっていう流れになっていますから。

 

 

−−今一番ハマっている道具は何ですか?

ドローンです。会社で国土交通省のドローン飛行申請許可も取りました。屋上の室外機の下見、写真撮影などに利用していますね。

 

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菜花空調が抱える4台のドローンの内の1機 (写真提供/株式会社菜花空調)

 

−−そうした楽しみがある設備工事の仕事の魅力とは、菜花さんの中でどういうところだと考えますか?

設備工事、管工事の魅力は、それぞれに違った形ができるってところだと思います。言わば1つひとつが造形物であり、作品なんです。配管にはセンスも現れるし、完成形を見て眺めるのが楽しいですよね。

同じ会社の人間でも、仕上がりに個性が出て、誰が担当したかがわかります。その差を小さくしていくことが会社の目指すべきところではあるのですけども。

私はその品質が高いレベルで保証されていれば、周囲の声が「菜花は高いよね」でもいいと思っています。「それなり」以上を提供できているのであればね。

 

 

「震災直後、お客様との約束のため現場へ向かいました。万が一お待たせするといけないので」(菜花)


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写真提供/株式会社菜花空調

 

−−宮城県と言えば、2011年には東日本大震災の被災地でもあります。あれから6年、現地の景気や時流はどのようになっていますか?

景気は悪くなっていると思います。求人募集をかけても人は来ませんし、被災後に震災特需などと呼ばれた流れも終わってしまいました。今は東京五輪の関係で、こっちから東京に出て行っている会社や職人が多いですね。

 

 

−−震災直後には、建設事業者さんが増えたということですか?

増えていましたね。西から応援に来ていた会社さんは今、みんな引き上げて行かれましたし、新しくできた会社は、結構潰れました。

震災後に設立、1〜2期目は増収、それ以降減益、やがて倒産という流れだったようです。そういうところで残っている会社も、仕事がなくて困っているようですね。

弊社は震災前後に関わらず、下請けとして変わらぬ営業を続けましたので、その流れに大きく影響されることはありませんでした。言い方はあまり良くないですが、そうした一過性の需要に乗じて適当に仕事をしていた人間たちが淘汰されていったのだと思います。

 

 

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――菜花さんは震災当日もお仕事をされていましたか?

3月11日当日は季節的に珍しく、雪が強く降る寒い日でした。その時は山の上の方にある現場でエアコンの工事をしていましたね。

携帯の地震警報が鳴ったので一度建物から出たのですが、その時には立っていられないぐらいの揺れがありました。近くのマンションでは、吊ってある室外機がどんどん落ちていたぐらいに。

ひとまずその現場を終わらせて私も避難しようと考えたのですが、次の現場の約束が入っていたので、万が一お待たせしてしまうと良くないと思い、そこへ向かいました。案の定、すでに避難されていて不在でしたけどね。

 

 

−−その状況で向かわれたのは凄いですね。事務所も津波などの影響を受けましたか?

幸い当時の事務所はアパートの上の方に構えていたので、ギリギリ床下ぐらいの位置までの被害で済みました。ただ、500m先ぐらいのところは家ごと流されてしまっていましたね。

 

 

−−地震からしばらくは、修理などの依頼が殺到したということでしょうか?

まずは「元請けさんを助けないと」と思いました。電話も通じない状況でしたが、震災から2日後には協力会社が全て自然発生的にガス設備工事の元請けのところに集まっていましたよ。

世間的には、建設業者が震災後に恩恵を受けているなどという見方もありましたが、私たちはそれまでと変わらぬ下請けとして働いていたので、それによって何があった訳でもないですね。

中にはすごく儲かって会社が大きくなったり、倒産寸前から持ち直したようなところもありましたが、そういう会社は先にお話した通りです。

 

 

1つでいい。「誰も追いつけないもの」を持っていたい


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菜花社長と従業員の皆さま (写真提供/株式会社菜花空調)

 


−−そうした未曾有のご体験を経て今があるわけですが、これからの菜花空調をどのようにしていきたいですか?

売上を目標にしてもつまらないですからね。小規模の企業なりに、1つ他のライバルが追従できないようなストロングポイントを作りたいです。「真似されても、絶対に追い付けない」くらいの形にまで。

そういう事情なので、ここでその実態を原稿に書いてもらうことはできませんが、実は既に取り組み始めていて、徐々に軌道に乗り始めたところなんです。そこには資金も投入していこうと思っていますよ。

 

 

−−なるほど。これからが楽しみですね。本日はどうもありがとうございました。

ありがとうございました。

 

 

■企業データ
社名:株式会社菜花空調
創業:平成1310 
本社所在地:985-0086 宮城県塩竈市千賀の台2丁目13番6号
従業員数:5名
代表者:菜花 祐樹
事業内容:空調・電気・ガス・冷暖房・換気設備・総合リフォーム工事
メンバーページ:株式会社菜花空調

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