解体工事でアスベストが出たときの職人の作業工程を学ぶ_00

解体工事でアスベストが出たときの作業を学ぶ

2019.02.20

アスベスト(石綿)には発がん性があります。築年数の古い建物には、アスベストが使用されている確率が高く、その除去は職人にとっても大変な作業です。ここではアスベストが出た解体工事現場で、近隣へ飛散させて影響を及ぼさないために、また自らも被害を被らないように、職人は現場でどのような作業や準備が必要なのかを説明します。


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アスベスト含有の可能性がある建築物をどう判断する?


建築物のアスベスト(石綿)含有の可能性は、目で見ただけで判断することはできません。データとして判断材料になるのは、建物の築年数です。

なぜならアスベストは時期によって、全国で広く使用されていたものの、次第に使用に関する規制が強まっていったという背景があるからです。以下に、規制の内容を見ていきます。

1975年 アスベストの含有量が5%を超えるものの吹き付け作業を禁止
1995年 含有量が1%を超えるものの吹き付け作業を禁止
2004年 含有量が全体の重量の1%を超えるアスベスト含有建材(クリソタイル[白石綿])以外の10品目の製造、輸入、提供、譲渡、使用の禁止
2006年 アスベストの含有量が重量の0.1%を超えて含有するものの製造、輸入、提供、譲渡、使用が禁止

こうして時代の流れとともに、施工業者はアスベストを使用できなくなっていきました。

したがって、築年数が古いほど、アスベストの含有量も使用されている可能性も高いと判断できるのです。

 

 

利用されている可能性が高い箇所


建設された時期や家屋の内装によってケースバイケースではありますが、アスベスト(石綿)が使われている可能性が高い場所は、いくつかに分かれています。以下のような場所に利用されているケースが多くなります。

屋根
老朽化によるアスベストの飛散の可能性は、現在のところ明らかになっていないものの、スレート瓦などはセメントと混ぜる形でアスベストが使用されています。

外壁
当時のサイディング外壁(外装材を貼るタイプの外壁)や波板には、屋根と同じようにアスベストが含まれている可能性が高いです。

内装材
ケイ酸カルシウム板やパーライト板など、内装材にもアスベストが含まれている事が多いです。

断熱材
保温性に優れていたため、当時の配管やダクトに巻かれた断熱材にはアスベストが使用されていました。

吹付け材
耐火材としての性質を活かす目的で利用していた吹付け材にも、アスベストが使用されていることが多かったようです。

 

アスベストの適切な処理は、そのレベルによって分けられる


アスベスト(石綿)を処理する際、処理の方法によって発塵量は異なります。飛散して近隣へ影響を及ぼす可能性もある作業内容があったり、工程や危険性の高さも違うのです。ここでは3つのレベルに分けて、それぞれの処理を見てみましょう。

 

レベル1/発塵性が非常に高い(アスベスト含有吹付け材)


アスベスト含有吹付け材の処理は最も発塵性が高い処理作業であり、危険性を伴うものであると言われています。アスベストとセメントを混ぜた吹付け材は綿状に固まり、撤去作業のときには大量の粉末を発生させます。このときに飛散する粉末はアスベスト濃度が高く、吸引によって健康被害を及ぼす危険性があります。

主に建築基準法の耐火建築物の梁や柱、エレベーター周り、体育館・工場などの天井や壁などに多く使われてきました。

 

対象となる工事と作業内容

解体工事の際の吹付け材の除去作業は、建材自体のアスベストの除去を行います。改修工事の場合は、薬液を使用して飛散防止する封じ込め工法ないしは、板状の材料を使用して密閉空間を作る囲い込み工法となります。

除去作業を行う前には、近隣へ周知するためにアスベスト除去工事の看板を掲示します。また近隣の方々には不便をおかけすることにもなるため、あいさつと説明回りをして納得してもらうようにしておきたいところです。

また、石綿障害予防規則により作業場所はプラスチックシートで隔離、養生した後、負圧除塵装置を使って作業場所の気圧を周囲より低く保つことが義務付けられています。

事業者は除去作業を行う者に対して保護具を装着させなければなりません。そして作業員は作業よりも事前に必ず特別教育を受けておく必要があります。

 

 

レベル2/発塵性が高い(アスベスト含有保温材・耐火被覆材・断熱材)


ボイラー本体や配管、空調ダクトなど保温材として使用されていたり、屋根などの断熱材に使われており、レベル1ほどではないけれども除去作業には一定量のアスベストの飛散が起こりうるため、適切な対策が必要です。

 

対象となる工事と作業内容

アスベスト含有の建材を除去するとともに、レベル1と同様の封じ込めまたは囲い込みの作業を行います。

レベル2のアスベスト除去作業は、レベル1と比べれば少ないとは言えども「発塵性が高い」訳ですから、レベル1と同じ工程の作業を行います。建材を湿らせてアスベストを飛散しにくくする湿潤化作業も同様に必ず行う必要があります。

 

 

レベル3/発塵性が比較的低い(成形板などその他アスベスト含有建材)


成形板などのアスベスト含有する建材は、ほかのレベルと比べれば発塵性が低い作業です。建物の壁や天井、床などにアスベストを含有した成形板、ビニール床タイルなどを貼り付けている場合や、屋根材として石綿スレートなどを用いている場合の除去作業を行います。

 

対象となる工事と作業内容

手作業で除去作業を行なっていきます。他のレベルで必要だった各届出が、レベル3の除去工事の際には必要ありません。近隣への周知・建材の湿潤化が必要なのは、他レベルと変わりませんが、隔離養生・前室設置の必要はありません。また、作業員の保護具もレベル3では比較的簡易的な保護服での作業となります。

 

 

アスベスト含有建築物の解体工事の流れ


事前の手続きなど


工事を始める前に建築物の分析調査を行い、結果も保管をする事が必要です。施工業者は作成した作業計画の周知しなければなりません。また労働基準監督署長宛てに工事計画届(14日前まで)と建築物解体等作業届(作業前まで)を提出します。都道府県知事宛てに、特定粉じん排出等作業届出書の提出(14日前まで)しなければなりません。

 

看板設置・足場組立・事前清掃


近隣住民から見やすい位置に、事前に工事概要を記した看板を設置します。「立ち入り禁止」から「飲食喫煙禁止」「有害性」の掲示なども必要です。

足場の組み立てや事前に作業場を清掃するなどの作業も除去工事以前に行います。清掃については除去に当たっている間、毎日欠かさず実施します。

 

作業場所の隔離・密閉養生


完全にアスベスト(石綿)が飛散しないようにするためには、ペットボトルと同じ材料で作られた「PETシート」と呼ばれる養生シートを使って、隔離養生を設置する必要があります。PETシートは丈夫で破れにくく、隔離・密閉しての作業に向いています。また、前室も設置しなければいけません。

 

アスベスト除去工事


①粉塵飛散抑制剤の散布
除去工事を始める前に、アスベストの飛散を防ぐ抑制剤の散布をします。この時散布する抑制剤には、主に水ガラスを主成分とする無機系薬剤が使用されます。保護具に付着しても簡単に拭き取ることができ、人体への害もありません。

 

②アスベストの除去
アスベスト含有の建材の掻き落としや切断、破砕によって除去作業を行っていきます。作業員は、アスベストを吸引しないためのマスク(ろ過式呼吸用保護具)などの保護具や、使用後に処分できる保護衣・作業衣を着用しなければなりません。

 

③除去石綿減容化・袋詰作業
廃棄物として処理するため、除去したアスベストは飛散しないように前処理してから真空圧縮し、その容積を5割〜7割ほどに縮小させて処分しやすくします。廃棄物処理のコスト削減の意味合いもあります。

 

④使用器具等の付着物の除去
アスベストの除去自体が終了した後は、使用した器具を搬出するときに、それらに付着した有害物質が飛散してしまわないよう、丁寧に除去作業を行います。作業員の使用した保護具も同様に除去作業が必要です。繰り返しになりますが、作業衣は作業ごとに処分することが必要です。

 

 

除去工事後の作業


①仮設物等の撤去・仕上げ清掃
工事が終了したら、前室として使用していた休憩室、うがいや洗顔をする洗面設備、洗身設備、更衣室、洗濯設備などの仮設物を撤去します。これまでにも作業場の清掃を毎日実施してきていますが、最後の隔離養生を撤去するときは、その遮断された空間がなくなることになるので、アスベストが飛散しないよう入念な清掃作業が必要となります。

 

②最終処分場への運搬・処分
アスベストを適正に処理するためには、最終処分場への運搬し、処分します。廃棄物処理業者にアスベストの処理を委託する時は、廃棄物処理法により処理委託契約の締結とマニフェストの管理などを徹底することが定められています。

 

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