【現場女子】女子建設職人たちの、未来を見据えた座談会《後編》_00

女子建設職人たちの、未来を見据えた座談会《後編》

2017.03.01

前編では、女性でチームを組んで仕事をすることになった経緯やそのメリット、男性社会である職場での悩みなどについて、忌憚のない会話が交わされた現場女子トーク。後編では、彼女たちの仕事にかけるプライドや今後の目標について語り合ってもらいました。

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プロフィール (写真左から)

深山じゅん インテリアJUN代表取締役社長 クロス職人/歴13年(他職人歴4年) 建設職人甲子園女子部部長

長口修子 株式会社メガステップ 親方 左官職人/歴6年

鈴木香苗 株式会社K’s塗装 塗装職人/歴3年

福永美沙紀 株式会社K’s塗装 塗装職人/歴2年

岩舘尚美 建設業界外勤務 職人体験のために参加/歴2日

 

女子たちのプライド


--仕事の上で、「これが私のプライド」のようなものはありますか。

鈴木香苗(以下、鈴):自分は「自分の心にも、男にも負けない」ですね。元々メンタル弱い方だったので、いつも自らに言い聞かせてます。

 

福永美沙紀(以下、福):私の場合、プライドとは少し違うかもしれませんけど、「女に職人は務まらない」って思っている人達を見返すことですね。

 

深山じゅん(以下、深):いいねー(笑)。

 

:認めさせてやりますよ!

 

長口修子(以下、長):自分も福ちゃんと一緒です。そう想ってきたからこそ、今親方になれてるし、他の親方達にも負けてないって思ってます。大事にしていることは「(仕事を通して)誰と何をしたいか、誰に何をしたいか」、仲間とそう想い合えるようにすることですね。

 

岩舘尚美(以下、岩):私はまだ……、プライドはないかな。

 

一同:笑。

 

:私としては、プライドなんてない方がいいかなって思ってます。若い頃はありましたけど、大人になってそう考えるようになりました。だからこそ、ダメだった時は謝ることもできるし、ちょっと嫌なお客様だったとしても頭下げることもできるし、人にお願いすることだってできる。元々は違ったんですけど、素直にそうできるようになりました。

 

--どういうタイミングでそうなったんでしょうか?

:独立してからですかね。見習いの頃は色んな人に甘えてきましたし、やりたくないことはやらないっていう感じでしたけど、一人になってからは理不尽なことを言われてもお客様だから笑顔で対応したりしているうちに自然と。歳を重ねるほど、お客様の立場になって考えるようになっていきましたね。絶対守っていることは、どんなに大変だろうが、夜中まで働こうが、笑顔でいることです。

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見学・体験だけでも大歓迎!! そういう場所にしていきたい


--今後、女性の職人さんが増えていくには、何が必要だと思いますか? みなさんはそこに対して、何か動いていこうと考えていますか?

:それが建設職人甲子園女子部がやっていかなければいけないことだと思います。この活動を世の中に発信できる場所があるなら、今回みたいに積極的に取材に協力したり。やはり、現場での仕事が第一なので、私達だけではそれぐらいが限界。そういう中でも、「建設業界の仕事って女でもできるんだよ」っていうところを見せ続けていくことができれば、興味を持つ女の子も出てくると思います。

 

--今回のように何らかの媒体のメディアが取材に来るようなことは大歓迎だと?

:そういうことですね。現に、職人をやってみたいなって思っている子はいっぱいいると思うんです。でも、思ったところでどこに行けばいいかも、職人が実際にどんな仕事をしているかもわからないはずなので、それを提示してあげられればいいですね。実際に尚ちゃん(岩舘)は、元々私の友達ですが、普段は業界とは全く関係ない仕事をしている人で、今回は体験してもらってるところなんです。たまたま休みだったらしいので初日の前日に、「明日来なよ」って言って(笑)。

 

:そうなっちゃうと逃げられないよね(笑)。

 

:逃さないよね(笑)。私は見学とか体験してもらうのは大歓迎。女の子が見にきてくれたらテンションも上がりますよ。「女に職人の仕事は無理」っていうイメージを持っている子もいるかもしれませんが、その判断は一度体験してからでもいいと思います。

 

--岩舘さんは、初めて建設業の仕事(クロス工事)を経験してみていかがでしたか?

:すごく楽しかったですよ。やってみる前はクロスを貼るだけかと思っていたら、剥がすところから取り掛かるとは考えもしませんでした。全てが初めての体験だったので、新鮮さが良かったですね。

 

:一切やったことなかった子が、こうやって「やってみると楽しいじゃん!」って思ってくれれば嬉しいです。

 

:実際にやってみて、できなかったら私には向いてないんだって思えばいいだけだと思います。でも、私は「上手くて、向いてるな」って思いました(笑)。

 

一同:笑。

 

:建設職人甲子園女子部を女の子のための職人の体験の場所にするためには、今回みたいに私達が一緒に仕事ができる現場がないといけないので、私は営業して現場を作るということをやっていかないといけません。

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--他の皆さんは、どのようなお考えをお持ちですか?

:今って、業界外の女の人にとって、入り口が見えない状況なんですよね。私もどうせ受からないだろうと思って面接に行きましたから。

 

--ちなみに、面接を受けに来る人達の男女比はどのぐらいでしょうか?

:9対1ぐらいですかね。

 

:もっと少ないかもよ。

 

--募集要項に、「女性歓迎」などそういった表現は入っているのですか?

:今は結構多い見たいです。でも、書いてあるからって誰でも応募できる訳ではないと思うんです。やっぱり、自分に何ができるのか不安だろうから。

 

:自分はまさにそれでした。ただ、その時すごくお金に困っていたので、「勢い」でしたね。必要に迫られてなければ、結構な挑戦だったと思いますよ。

 

:求人に女の子の写真とかが載っていれば、イメージも少しは抱きやすくなる気がしますけどね。

 

:やっぱり女の子にしてみれば、職人の仕事って「汚れる」とか、「汚い」みたいなイメージを持ってる人もいるはず。でも、私はオフの日、初めて知り合った人から「塗装やってるの!?」って驚かれたりするぐらい、ファッションも楽しめてますし、女の子らしいことこともできてます。ネイルだってしてますよ。仕事も、汚れたくないなら、汚れないように仕事ができるようになればいいだけですから。

 

:私、ネイルなんて一回もやったことない(笑)。これからやってみようかな。

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女の子たちのために、「入り口」を広げる!


--では、最後にそれぞれの今後の目標を聞かせてください。

:じゃあ、私から行きますか(笑)。

 

一同:笑。

 

:ちょっとだけでも仕事を覚えたので、手伝える時は手伝いに来たいですね。じゅんちゃん(深山)以外は昨日、今日会ったばかりの人達だったんですけど、私のことを快く受け入れてもらえて、とても楽しかったです。だから、目標はまた来ることですね。

 

--女性職人の方々はそういう、「ウェルカム」な感じの方が多いのでしょうか?

:そうかもしれないですね。そうじゃないと、男だらけの中でやっていけないのかも(笑)。

 

:私は今やっている職種以外のことも身に付けて行きたいと思っています。モルタルアートなど、女性が活躍できるような技術を覚えたりとかです。今そのために色んな講習にも通わさせてもらっています。そうやって女の子が働きたいと思うきっかけになるような「入り口」を広げてあげたいです。

例えば、モルタルアートに色を付けるとなれば、塗装の女の子が女子ならではの色彩感覚を活かせることもあるかもしれない。そうやって女性が向いてるようなことが増えていけば、この業界にポンっと入って来た時に、女だからって重たい物が持てないことに引け目を感じないでいいようになると思うんです。そのためにも職人の仕事を、アートな方向性とか、今以上に特別なものを作れるようにしていければいいですね。

今は仕事の上で仲間には迷惑を掛けている部分もありますが、会社として応援してもらっているので、頑張ろうと思っています。悔しい思いをしてる女の子たちを減らしていけたら嬉しいですね。本当にいっぱいいるので。私も親方になっても、まだそういう想いをすることもあるし、もっと下で頑張っている子たちはもっとだから、そういう子たちを“拾ってあげたい”。

 

:そうだね。頑張ろう。

 

:異業種を経て、34歳の時に左官をやりたいと思って飛び込んだ身なので、正直言ってこの仕事に年齢なんて関係ないと思っています。40歳を過ぎていようが、「やりたい」っていう気持ちだけでできる仕事です。意志を持って入ってくる人なら、私は全身全霊で応援しますよ。

今日の現場は、これから入り口を広げていくための、大切な第1回(活動)になったと思います。それが積み重なっていけば、1人、2人と増えていくはずです。すぐに来なくたっていいですよ。続けることに意味があるんです。女の子たちへの入り口の目印として、「女性でもやってる人がいる」という存在になっていればいい。

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:よく周りから「(小さい)子供がいる人はこの仕事できないじゃん」って言われるんだけど、「なんで?」って思う。たまに本当に体力的にできないっていう子もいるけどさ。ほとんどの人は体力的にできないことはない訳だから、そう仕向けてしまってるこの業界にも責任はあると思うよ。

例えば、母子家庭の母親とかは特に生活のためにも頑張って働く必要がある訳じゃん。でも、現状は子供がいるから保育園に預けている時間だけどこかでパートするぐらいしか仕事ができない。あんまり長く働けないから就ける仕事も限られる。でも、お金は必要。この状況っておかしいでしょ。

そこで、この業界だったらやる気があって頑張ったら、頑張るほど稼ぐこともできるし、技術も磨ける。だから、そういうお母さん達の置かれた状況を理解してあげられる職場環境が用意してあげられるなら、やりたいっていう女の子も結構出てくると思うんだよね。

 

:でもそれって、用意してあげる会社にとっては並大抵のことではないじゃないですか。私は幸い、そういう考え方を持つ社長さんの下で働けているし、K’sさんもそういう会社だと思います。じゅんさんもそう考えられる人ですけど。

 

:だから、私の今後の目標は、この女子部の活動を続けていくことで、そういう場所と理解してくれる人達を増やしていくことになりますね。ただ、突然大きなことはできませんし、やっぱりこの活動を続けていって、やりがいとか私たち自身、女子職人の存在をアピールしていくしかないです。

 

--若手のお二人はどうですか?

:やっぱり、私はさっき言ったように、「女に職人は務まらない」って思っている人達を見返すことです。ただ、まだ始めてから2年ぐらいですから、当面の目標は他の人に質問しないで仕事ができるようになることと、月に40万円以上稼げるような職人さんになることですね。

 

:そういう「できるようになりたい」って思う気持ちは大事だね。

 

:出来るようになったら、また自分に問いかければ、次にできるようになりたいことが自然と生まれてくるよ。

 

:そう、そう。逆に言えば、出てこないうちは、まだ成長してないってことだろうね。

 

:なるほど。

 

:福ちゃんなら大丈夫だよ。40万円もすぐ行くって。

 

:はい、頑張ります。

 

:自分は、会社でもこういう女職人の場でも、下の子は見守りたいと思うし、上の人たちは支えていきたい。そういう存在になれたらいいですね。別に上に立ちたいとか、そういう感情はあまりないんです。

 

:素晴らしい!

 

:ぜひ、お願いします。

 

--本日、お忙しいところ取材にご協力いただきありがとうございました。

一同:ありがとうございました。

 

<座談会の前編はコチラ>

【建設職人甲子園女子部にご興味のある女性は下記へご連絡ください】
Tel:03-5805-2839 Fax:03-4496-4846 (担当/深山じゅん)
office@k-shokunin.org

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取材協力:インテリアJUN / 株式会社メガステップ株式会社K’s塗装
(取材・文・写真:TEAM SUSTINA)

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