建設業界の下請け構造が定着した理由とその問題点_00

建設業界の下請け構造が定着した理由とその問題点

2017.10.06

皆さんは「下請け」や「元請け」という単語を聞いたことがありますか?

 

建設業界においては、「下請け構造」が一般化、さらに、2次下請けや3次下請けなど、いわゆる「重層下請け構造」が見られます。現在の建設業界においては、これが問題視されているのです。

 

今回はそんな下請け構造がなぜ定着し、今、どのような弊害をもたらしているのかを解説していきます。

 

元請け会社が下請け会社に依頼する「下請け構造」


下請け構造とは、施工主から建築物の施工依頼を受けた元請け会社が、建築物の建設において発生する各種の専門的な業務を外部の会社に依頼する仕組みで、ものづくりに関わる仕事に多く見られます。

 

特に、建設業界においては、単に元請け会社が下請け会社に対して業務を依頼するだけではなく、下請け会社だけでは処理しきれない業務を、下請け会社のさらに下請け会社、いわゆる孫会社に業務を委託する場合があります。

 

このように、下請け構造が多重的になることは重層下請け構造と呼ばれています。では、なぜ建設業界において下請け構造が一般化したのでしょうか。

 

下請け構造が定着した理由


かつては、元請け会社において、必要な人員を全て自社で雇用していた時代がありましたが、戦後、元請け会社に工事依頼が多数舞い込むようになると、自社の社員だけでは対応しきれなくなりました。そこで元請け会社は、受注した工事を下請け会社に依頼することで、増加する工事に対応してきたのです。

 

さらに建設業界では、工事受注が必ずしも常に一定ではないことから、建設企業にとっては閑散期に余剰人員を抱えていると、経費の増加につながり、経営を圧迫しかねません。

 

つまり下請け構造が一般化した理由として、繁忙期・閑散期のいずれの場合であったとしても、下請け会社を活用することにより、自社の社員数を安定的に維持できるという元請けにとっての利点があったのです。

 

また、元請け会社の雇用を安定化させることが目的として広まった下請け構造ですが、その構造を活用することによって、元請けは自社で施工対応できない専門的な工事を下請け会社に依頼することが可能となりました。

 

建設工事においては、基礎工事や建設工事はもちろんのこと、配管工事や内装工事、塗装工事など多種多様な専門工事が存在します。つまりこれらの工事を、専門的な工事に特化した下請け会社に依頼することによって、元請け企業は効率的に高品質な工事、仕上がりを顧客に提供できているとも言えるのです。

 

皆さまの身の周りにある多くの「良い建物」は、名前が出ている元請け企業以外の企業、職人によってつくられているケースが大半と言っても過言ではないでしょう。

 

 

重層下請け構造の問題点とは? 


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重層下請け構造を活用することにより、一つの建設工事に多くの会社、職人が関わるっていることは理解できたでしょうか。

 

しかし、冒頭に触れた通り、下請け構造の重層化には問題があるのです。1つは施工責任が明確になりにくい問題があります。それは、工事の品質低下のほか、建築物の安全性の低下にも発展していきかねない、軽視できない問題です。

 

また、重層下請け構造においては、2次下請けや3次下請けも工事に関わっていることから、工事のコストがアップする要因にもなっています。それを支払う施工主としては決して歓迎できない話でしょう。

 

さらに、重層下請け構造の下では、元請け会社や1次下請けの利益が多くなる傾向にあり、2次下請けや3次下請けとその下に続く企業にとっては、利益がわずかな額にとどまってしまうケースも見られます。

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つまり下請け構造は、下にいくにつれてそこで働く職人の労働条件が悪くなるのです。そんな状況にもかかわらず、体を動かし、その構造の土台を支えているのは下層で働く職人たちなのです。なんとも理不尽な話ではないでしょうか?

 

重層下請けとして仕事を受けることで十分な利益の確保が難しく、そこでの序列が低い企業は人を雇う余裕など持てず、結果として人材不足や技術の継承ができないといった問題の連鎖が起きていきます。こうした問題に対策を講じなければ、建設業界は衰退の一途を辿る危険性もあるのです。

 

ですが、そうした危惧に対して、行動を移し始めた企業も徐々に現れてきています。そのあたりについは、またの機会を設けてお伝えします。

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