「格闘家」だけを雇用する金属工事の会社『(株)逸鉄』が「建設業×格闘技」で日本人職人の育成を目指す【趣味・スポーツ × 建設業】_00

2017.06.26

「格闘家」だけを雇用する金属工事会社『(株)逸鉄』が「建設業×格闘技」で日本人職人の育成を目指す【趣味・スポーツ × 建設業】

2017.06.26

―― 残業がないことで、もちろんトレーニングにも良い効果が?

齋藤(以下、齋):コンスタントにトレーニングの時間を確保できれば、同時に休息の時間もしっかり確保できるわけです。仕事〜トレーニングと、彼らもかなり体を酷使していますから、その分回復させてやらねばなりません。

 

―― 休息の重要性に対する理解があるというのも、逸鉄ならではですね。

:常日頃から従業員には「仕事だけではダメだ。仕事以外でも大事なことがなければ芸は身につかないんだ」と伝えています。そう、「技術」とは「芸」です。そのレベルを高めるためには、鍛錬以外の時間の過ごし方が重要になってくるんです。

仕事では全員に標準以上のクオリティを求めていますが、だからこそ仕事が終わればなるべく早く家に帰してやり、好きなことにめいっぱい打ち込んでもらい、休日も健やかに過ごしてほしいと思っています。これらが相互作用を引き起こして、逸鉄のみんなが幸せに暮らせるようにしたいですね。

 

[逸鉄従業員に聞く]
トレーニングに一層専念できることで公私ともに充実


「充実感とともに仕事に取り組める環境がある」(古川)

古川 慧史郎

古川 慧史郎(ふるかわ けいしろう)
1988年3月生まれ、福岡県出身。大学卒業後、21歳から始めたブラジリアン柔術の練習を続けながら、営業職などを経験。1年半前に上京し、逸鉄社員として勤めるように。『IBJJFアジアオープン柔術選手権』(2014年大会)にて、アダルト紫帯ライトフェザー級で優勝を経験。好きな格闘家は、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル)。

 

――どのような経緯で逸鉄に入社されたんでしょう?

古川(以下、古):逸鉄に入社するまでは、約8年にわたって営業職などの仕事と掛け持ちでブラジリアン柔術を続けてきました。東京に来たある日、SNSで見かけた逸鉄の社員募集をキッカケに応募したんです。

それまで建設関係の仕事における経験はまったくありませんでした。実際に取り組んでみて、コンマ単位の仕事ばかりで最初の頃はついていくだけで精一杯でした。元々僕は大雑把な性格なので、その細やかな作業に戸惑いましたね。

それでも、根気強く教えてくれる齋藤社長に引き上げられ、逸鉄の一員として務めるまでになっています。

 

―― 逸鉄の良いところってどこでしょう?

:当たり前の話ですが、他の会社だとブラジリアン柔術のことを知らない人ばかりなので、あまり柔術の話をオープンにはできませんよね。それこそ仕事で失敗でもしたらマイナスイメージとして受け止められかねないので、取り組んでいること自体知られないようにしていたんです。

でも、逸鉄では同僚のみんながブラジリアン柔術をしていますし、それに仲も良いんです。だから、気兼ねなく趣味の話で盛り上がれるんです。もちろん肉体労働でクオリティの高い内容を求められる仕事は大変ですが、精神的なストレスとは無縁で、むしろ充実感を味わいながら取り組めていますね。

 

「恵まれた環境のおかげでトレーニングに打ち込める」(本間)

本間 祐輔

本間 祐輔(ほんま ゆうすけ)
1981年11月生まれ、北海道出身。総合格闘技イベント『PRIDE.1』で高田延彦 vs ヒクソン・グレイシー(ブラジル)を見たことと、「格闘技では組み技の方が打撃よりも強い」と知った衝撃から、16歳よりブラジリアン柔術を始める。2006年IBJJFアジア柔術選手権黒帯ルースター級優勝、『2008年IBJJF世界柔術選手権』黒帯ルースター級準優勝。『2015年IBJJF世界ノーギ柔術選手権』準優勝。2008年からは総合格闘技に転向した。好きな格闘家は、ヒクソン・グレイシー。

 

―― キャリアは16歳からと、かなり早いですね。

本間(以下、本):大学進学も、柔術を目的に決めました。卒業後も仕事をしながらプロの格闘家として競技生活を送っていました。

ある時期、運送会社の正社員として勤めていたことがあるんです。そのときは朝5時半に出社して、帰宅するのが21時過ぎという労働環境で、柔術の練習がほとんどできずにコンディションがなかなか整いませんでした。

当然プライベートの時間なんてありません。その点で見ると、逸鉄は残業がないので、仕事とトレーニング、そしてプライベートという3つが保てるというかなり恵まれた環境だと感じますね。

 

―― 逸鉄に入社して大変だったことは?

:それでもやっぱり、朝の早さですね。朝6時には家を出て現場に向かうことに慣れるまで、ちょっと時間を要しました。もちろん、今ではすっかり慣れましたよ。

同僚のみんなとは、休憩中にふざけた会話ばかりしているんですけど、仕事になるときちんとしています。仕事については厳しく、しっかりと気を引き締めて取り組める逸鉄のこの環境、僕は好きですね。

 

「愛ある厳しさが僕を大きく変えてくれた」(遠藤)

遠藤 信行

遠藤 信行(えんどう のぶゆき)
1986年9月生まれ、茨城県出身。建築系の専門学校に入るために上京。23歳のとき、齋藤社長が在籍する建設会社に入社した。雀荘など仕事を掛け持ちしていたとき「お前は何かやったほうがいい」と齋藤社長に薦められ、ブラジリアン柔術を始める。現在、柔術を続けて7年目。『第3回東日本柔術選手権大会』(2015年)でアダルト紫帯ルースター級3位。好きな格闘家は、山本“KID”徳郁。

 

―― 遠藤さんが格闘技を始められたキッカケは、齋藤社長なんですね。

遠藤(以下、遠):この当時、僕はいまいちピリッとしない生き方をしていたんです。そんな僕を見た齋藤社長から「格闘技でもしてみたら?」と誘われたのが最初でした。あの一言が、今の僕へと繋がっていますね。

逸鉄入社時、僕は本当に何もできなかったので、社長にはかなり厳しく、ええ、決して脚色などなしで、厳しく仕事を教え込んでもらいました。すべてを覚えるまでは大変でしたが、齋藤社長が僕の面倒を見てくれている気持ちは理解していたので、どれだけ厳しくされても辞めようと思ったことは一度もありませんでした。

 

―― 逸鉄の雰囲気ってどんな感じでしょう?

:みんなの距離が近いと思えるほど、仲が良いんです。柔術の話ももちろんしますが、それ以外にもくだらない話で盛り上がったり、公私ともに楽しめていますね。よく「社内での対人関係のストレス」という話を耳にしますが、逸鉄とは無縁の話題ですね。

仕事中の齋藤社長はすごく厳しいですが、仕事から離れるとフランクで、本当に気兼ねなく接することができます。柔術にも専念できる環境にあるからこそ、もっと逸鉄に貢献したい気持ちが出てくるんですよね。

 

「気持ちの余裕が仕事への意欲へとつながる」(三橋)

三橋 心一

三橋 心一(みつはし しんいち)
1991年1月生まれ、青森県出身。工業高校を卒業後、お金を貯めるために18歳で上京。建設業のキャリアは7年目。2年半前から柔術を始め、逸鉄も支援している山本“KID”徳郁選手の手がけるスポーツジム「Yamamoto Sports Academy」で練習を重ねる。そこで齋藤社長と出会い、逸鉄に転職。『EAST Japan 2015』で2位。好きな女性タイプは、目がクリっとしていて、優しくしてくれる人。

 

―― 三橋さんが逸鉄に入社した経緯を教えてください。

三橋(以下、三):工業学校を卒業した18歳から建設業界で働いているので、職人としてのキャリアは7年目になります。逸鉄との出会いは今から2年半前、ブラジリアン柔術を始めようと山本“KID”徳郁さんのジムに入会したことから。当時は前職に勤めていたのですが、ちょうどこのジムの練習会に来ていた齋藤社長に転職の相談をしたところ、逸鉄を紹介してもらった……というものです。

 

―― 逸鉄に入社してみた印象は?

:同じ建設業だったので、仕事そのものへの戸惑いはありませんでした。ただ、前職とは営業体型が異なっていたので、その点に関しては戸惑いましたね。それも、仕事を続けるうちに慣れてきました。今はいい雰囲気で逸鉄の仕事を覚えられています。

前職では毎夜11時近くまで残業していたので、深夜2時から柔術の練習をするというのが当たり前になっていました。残業が皆無の逸鉄と比較すると、異常ですね(笑)。おかげで今はコンディションを整えるのがすごく楽になりました。柔術に専念できるから、仕事に対しても意欲的になれるんです。こういう職場環境がもっと増えていってくれれば、って思いますね。

 

変化という心地よい風を感じて


集合写真

仕事に趣味にと、真摯に取り組んでいるからこそ見えてきた課題と、それを乗り越えようとするバイタリティが生んだ理想的な企業、逸鉄。まるで座談会のように終始笑いの絶えない今回の取材を通じて、働き方、仕事への取り組み方というものに心地よい変化の風が吹いてきていることを感じさせられました。

 

仕事とプライベートをバランス良く保つことで相乗効果を起こす……言うは易く 行うは難し、と思ってしまうところですが、実は意外にもカンタンに取り組めてしまうものなのかもしれませんね。こうした会社が今後も増えてくるのだと実感した次第です。

 

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取材・文=流石香織
撮影=長野りゅーせい

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