建設現場にこそ不可欠なAEDの必要性と使い方を救急救命士が教えます【実践編】_00

建設現場にこそ不可欠なAEDの必要性と使い方を救急救命士が教えます【実践編】

2018.01.10

前記事でAED使用における基礎知識やその有効性は理解できたと思います。今回の【実践編】では、例えば「建設現場で、突然同僚が倒れた!」、そんなときに求められる『AED』(自動体外式除細動器)を用いた実践的対処法を東京消防庁・救急指導課 救急普及係 主任の畠中正太郎さんに教えてもらいましょう。

 

建設現場にこそ不可欠なAEDの必要性と使い方を救急救命士が教えます【基礎編】
https://contents.team-sustina.jp/magazine/aed/

 

倒れた人がいた……こんなときどうする!?


まずは救急車を呼び、到着するまでの数分間でAEDでの処置次第で運命が変わることも。まずは落ち着いて、適切な対処ができるよう努めましょう。



救命救急士・畠中氏


プロフィール
畠中正太郎(はたけなか しょうたろう)
1984年生まれ。救急部救急指導課・救急普及係に所属し主任を務めている。専門学校に通い救急救命士の資格を取得した後、2008年に東京消防庁へ入庁。千住消防署、荒川消防署、足立消防署を経て、201610月に本庁へ配属された。現在は救急の普及活動を中心に、講習、広報資料制作および救急隊の指導などを行っている。好きな言葉は「人間力」。





 




呼びかけて反応がなければ助けを呼ぶ






--倒れている人を発見した場合、何をするべきなのでしょうか?

反応があるかを確かめる

畠中:まずは反応があるかどうか呼びかけてください。軽く肩を叩きながら「大丈夫ですか?」と何度か問いかけます。

 

 

--最初から強く呼びかけても良いのですか?

周囲へ助けを求める

畠中:最初は優しく呼びかけてください。寝ているだけかもしれないので、強弱をつけていくのが良いでしょう。反応がなければ、周りに向かって「誰か来てください!」と呼びます。集まってもらったら、119番に通報をしてもらったり、AEDを持ってきてもらったり……それぞれに役割を指示します。

 

 

--倒れている人への対応はどうするべきでしょうか?

呼吸の有無の確認

畠中:普段どおりの呼吸をしているかの確認をしましょう。10秒以内で、胸や腹部の動きを見て普段どおりの呼吸のチェックをします。

 

 




胸骨圧迫は一点集中で力強く!






--そこで普段どおりの呼吸をしていなかった場合は?

胸骨圧迫

畠中:普段どおりの呼吸をしていない、または判断に迷う場合は、すぐに胸骨圧迫を開始します。手を組んで手のひらの付け根で胸の真ん中を押しましょう。5センチくらいの深さで、1分間に100~120回ほど圧迫するのが理想的なリズムです。

 

 

--なぜ、この手の組み方なのでしょうか?

胸骨圧迫の手の組み方

畠中:心臓は、胸の真ん中にある胸骨という硬い骨の下にあります。よく「心臓の位置は左側だ」と言われますが、若干左に寄っているというだけで、胸骨の真下にあるのです。

その胸骨で守られている心臓を何とかして動かそうというのですから、かなりの力を要しますよね。手の平全体で押すと力が分散しますので、手の付け根一点に力を集中させて真下に押すことができるこの組み方が最適な方法なのです。

 

 

--胸骨圧迫で骨折することはありますか?

畠中:骨が折れる可能性はゼロではないのですが、それ以前に心臓が止まってしまった場合、何もしないでいると救命できる可能性は時間とともに低下します。そのため、躊躇せずにやっていただきたいです。

 

 

--他にも蘇生方法はありますか?

畠中:もし人工呼吸の講習を受けたことがあって、上手くできる人であれば、胸骨圧迫のあいだに人工呼吸をしてください。

 

 

--ということは、講習を受けたことのない人は安易にやらない方が良いのでしょうか?

人工呼吸用フェイスマスク

畠中:いまいちやり方が分からないのであれば無理はせず、胸骨圧迫だけを続けることが大切です。人工呼吸をする場合、専用のマウスピースがあります。もしそれがあるなら活用してください。

ビニールタイプになっていて弁が付いているものです。吐瀉物や出血などから自身を守れるので、安心して人工呼吸ができます。

 

 




AEDを使う際は協力して行うこと!






--他の人がAEDを持ってきてくれたら何をするべきですか?

胸骨圧迫とAED操作の分業

畠中:胸骨圧迫は絶え間なく続けることが大切です。できるならばAEDを操作する人と分かれて処置をしてほしいです。協力者はいればいるほど心強いですね。

平成28年度における東京消防庁管内の救急隊到着時間は平均7分30秒です。それまで1人で胸骨圧迫を続けるのは体力的に難しいので、できれば2分ごとくらいで交代してほしいです。

 

 

--では、AEDの使い方を教えてください。

パッドに描かれた貼り付ける場所のイラスト

畠中:機械ですから衝撃や水に弱いので、安全な場所で使うことが大切です。操作方法ですが、電源を入れたら(フタを解放したら)音声メッセージが流れるのでメッセージに従ってください。

まず、相手の服を脱がしてパッドを体に貼ります。パッドをどこに貼るべきかはイラストが描かれていますので、そのとおりに貼りましょう。パッドを貼った後はAEDが心電図を調べてくれます。

 

 

--パッドを貼った後は?

電気ショックのボタン

畠中:「体から離れてください。心電図を調べています」というメッセージが流れますので、このときは胸骨圧迫を一時中断します。電気ショックが必要であればショックボタンを押すようメッセージがあり、ボタンが点滅しますので、誰も身体に触れていないことを確認してボタンを押してください。

電気ショックが不要であれば「胸骨圧迫を続けてください」とメッセージがあるので、続けましょう。

 

 

--救急車が来るまで何をするべきでしょうか?

畠中:胸骨圧迫を続けてください。AEDは2分ごとに心電図を解析してくれるので、1回電気ショックをしたからといって電源を切ったり、パッドを外すのは絶対にやめましょう。「電気ショックは不要です」というアナウンスが流れていても、貼ったまま胸骨圧迫を続けます。

よく救急隊が来るまでに片付けようとAEDを外してしまう事案がありますが、電気ショックが必要な状態になる可能性もありますので、AEDをつけたままにしておくことが大切です。

 

 

--救急車が来た後は何をするべきですか?

胸骨圧迫に集中

畠中:救急車が来たからといって胸骨圧迫をやめないでください。救急隊を呼びに行くのは誰かに任せて、胸骨圧迫を継続します。

周りに誰もいない場合は、大声を出して存在をアピールしてもらえると救急隊も見つけやすいです。救急隊の指示に従って、交替するまで続けてください。

 

 

--他に注意するべきことはありますか?

畠中:服を脱がしたり、パッドを貼っている最中も含めて、電気ショックを与えているとき以外は「胸骨圧迫を続ける」ということを覚えておいてください。しつこいようですが、絶え間なく続けることが大切なのです。

 

 

 




尊い命を救うのはあなたかもしれない






AEDには音声メッセージ機能が備わっていますので、誰でもカンタンに操作ができるもの。しかし、基本的な操作で気をつけるべき点や胸骨圧迫を救急車が来るまで続けるなど、知らなかったことも多かったはず。

 

こうした正しい行動ひとつひとつが頭に入っているだけで、実際の現場に遭遇しても落ち着いて行動ができることでしょう。

 

建設現場では、多種多様な方々が大勢働いています。心臓疾患の持病はないけど急に倒れてしまう……人が多い場所では、そういったケースが珍しくありません。準備をしっかりして“もしも”のときに備えましょう。

 

《【基礎編】では、AEDの必要性と基礎知識をお伝えしています。併せてお読みください》
https://contents.team-sustina.jp/magazine/aed/


 

新宿周辺AED所在地

>> 全国AEDマップ (スマホ用アプリもあり)

取材協力=東京消防庁 救急指導課 救急普及係
取材・文=浜瀬将樹
写真=佐賀山敏行

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